緑内障
- 緑内障とは
眼の内圧(眼圧)で視神経が衰える病気です
開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障とがあり症状や経過が異なります
- 原因は
原発性(体質によるもの)と続発性(他の病気によるもの)があります
続発性の原因で多いものは
糖尿病(糖尿病網膜症)、
ぶどう膜炎(眼球内部の炎症)
ステロイド緑内障
落屑緑内障などがあります
緑内障の眼底写真
緑内障の特徴(開放隅角緑内障)
多くはこちらの慢性型(日本人成人の約20%)
- 初期から中期は全く無症状
- 視野障害初期(壁や人にぶつかる、段差が見難い、信号の見落としなど)
- 視野障害末期(夜盲、文字が拾い読みしか出来ないなど)
- 無症状で住民検診や人間ドックなど眼底検査で視神経乳頭陥凹拡大などの異常を指摘され発覚することが多々あります。
- 自覚症状が無いため治療継続が難しい。
痛みなど症状がないので、寝る前の点眼薬のつけ忘れや、受診などのわすれ、
次第に億劫になり、初診から1年で33%の方が診療中断してします。
視野障害の特徴(イメージ)
欠けた視野を脳が補い、自覚症状が出ません
閉塞隅角緑内障の特徴
発作を起こすと数日で失明することもある緊急を要する病気
- 突然激しい頭痛、眼痛、吐き気発作を起こします。
- 発作を起こした目の極度の充血、霧視(霞み目)があります。
- 普段の眼圧は正常で症状はありません。急激な上記症状で眼科受診して見つかります。
- 発作時眼圧が正常の3倍近くまで高くなるため、頭痛薬のみで眼科受診せず、数日放置して失明する例もあります。
- 発作時にしか視神経がダメージを受けず、適切な治療を受ければ視野障害はほとんど起こしません。
- 風邪薬や消化器の検査薬などの薬で発作が誘発されることがあります。
開放隅角緑内障の治療
薬による治療
- 点眼薬による眼圧下降。安定していれば3か月に一度の通院です。
(目標値は3割下降)
- 内服薬や点滴による眼圧下降
(目標に達さない場合追加)
- 血流改善と神経保護
(視野の障害が目立つ場合内服薬追加)
レーザーによる治療
- 虹彩にバイパス作成し眼圧下降(閉塞型のみ)
- 排水を促進して減圧する(近年選択的レーザー線維柱帯形成術の初期治療が見直されています)
手術による治療(上記無効時の最終手段)
- 眼外への房水排水路を確保し減圧する
- 原則として入院が必要(近年白内障手術時に小さな器具を留置する簡便な方法も登場しています)
- 閉塞隅角の場合は白内障手術が有効(入院不要)
治療初期における点眼とSLTの比較
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点眼 |
SLT(レーザー) |
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治療方法 |
毎日決まった時間に点眼を行う |
治療前に点眼麻酔をし、専用のレンズを使用してレーザーを照射する |
費用 (3割負担) |
点眼薬 2年間 約36,000円~72,000円 |
レーザー治療 1回
約29,000円 (片眼)
(医療保険の適応となる場合がございます。
ご加入の保険会社へご確認下さい) |
長所 |
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- 非侵襲的方法である為繰返し治療可能
- 就寝時間帯眼圧変動の抑制が期待できる
- 1回の治療で2~3年間効果が期待できる(個人差あり)
- 毎日の点眼の煩わしさがない
- 保険適応
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短所 |
- 毎日の点眼が面倒
- 点眼薬によるアレルギーが生じる場合がある
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- 1回の施術費用が高い
- 全ての方に選択可能な治療ではない
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副作用 |
- 結膜充血
- 眼瞼色素沈着
- 睫毛多毛
- 上眼瞼のくぼみ
- 心不全
- 呼吸困難 (喘息の方は禁忌)
- 妊娠中、授乳中の方への使用は安全性が確立されていない
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※上記全て一過性のもの
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当院では緑内障に対する新しいレーザー治療である
SLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)を導入いたしました。
- SLTには副作用がほとんどないため、様々な人にSLTによる治療が可能であり、ときには初期治療として行われる場合もあります。
- 治療時間は5〜10分程度で、個人差はありますが痛みはほとんどありません。
- 毎日の点眼が面倒な方
- 点眼のアレルギーや副作用にお悩みの方
- 緑内障の病型によってはレーザー治療(SLT)が奏効する場合があります。
- レーザー治療にご興味がございましたら、詳細は当院スタッフまで遠慮なくお尋ねください。